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鋳造の特徴とメリット・デメリットについて

機械部品などを加工する際、「大量生産したい」「特殊形状の部品を作りたい」という要望に応えられる加工方法として鋳造があります。
今回はそんな鋳造の基本的な概要とメリットについて、ご紹介できればと思います。

目次:

  1.  鋳造の概要
  2.  鋳造の種類とそれぞれの特徴
  3.  鋳造のメリットとデメリット
  4. 鋳鋼製品のお悩みは鋳鋼技術ラボにお任せください!

鋳造の概要

鋳造とは、鋳型と呼ばれる型の中に溶かした金属を流し込み、冷やして凝固成形することで製品を得る加工方法です。
鋳型の種類によって「砂型鋳造」と「金型鋳造」に分けられています。

鋳造の歴史は非常に古く、紀元前3,000年頃にメソポタミア文明で銅と錫の合金である青銅が発見され、武具や生活の道具の生産方法として広まりました。
日本には弥生時代に伝わり、中国大陸から渡来した銅利器の模倣から始まり、銅鐸や楯などが鋳造によって生産されました。
なお、奈良の大仏もこの鋳造によってつくられてます。

現在、日本は世界の中でも大きな鋳物生産国であり、自動車産業を中心に様々な分野で鋳造による鋳物が使用されています。

鋳造の種類とそれぞれの特徴

先程もお伝えした通り、鋳造は大きく分けて「砂型鋳造」と「金型鋳造」の2つがあります。

  • 砂型鋳造
    その名の通り、砂で鋳型を成形して鋳造する方法です。
    砂の鋳型の中に溶けた金属を流し込み、金属が固まり次第砂型を崩壊させ鋳物を取り出します。
    そのため、一つの鋳物を鋳造するために一つの鋳型をつくる必要があり、同じ形状の鋳物を大量生産することには向いていません。
    一方で、鋳型の素材である砂そのものが安価なため、コストを抑えられるというメリットがあります。
    また、鋳型形状の自由度も高く、複雑形状の鋳造にも向いています。
  • 金型鋳造
    金型鋳造は鋳型を金属によって成形し、その鋳型に溶かした金属を流し込むことで鋳造する方法です。
    なお、鋳型には耐熱鋼と呼ばれる摂氏400度以上でも変形や腐食しない金属を使います。(鋳鋼での溶鋼温度は約1600度)
    砂の鋳型に比べ形状の自由度は低いですが、一度成形すれば何度も繰り返し使用が可能なため、大量生産に向いています。
    また、砂型に比べ鋳肌、寸法精度のいい緻密な鋳物製作が可能なため、工業製品によく使用されています。
    一方で、鋳型の成形コストが砂の鋳型に比べて高くなるため、試作品や小ロットの生産の場合は不向きといえるでしょう。

そのほかにも細かな分類はありますが、大きく分けるとこちらの2つの鋳造方法に分かれます。
自分が鋳造したい部品の形状やサイズ、鋳造個数にあわせて適切な鋳造方法を選ぶことで精度の向上はもちろん、コストダウンにもつながります。

鋳造のメリットとデメリット

このように鋳型によって特徴はありますが、どちらも共通して複雑な形状でも大型製品でも簡単に作れるというメリットがあります。
鋳造では型さえ作ってしまえば後は流し込み冷却成形することで生産が可能です。
さらに、工程が少ないこともあり時間やコストが抑えられる点も非常に優れています。

一方で、鋳型を成形時に不具合があった際や金属を流し込む際、冷却成形している際などに欠陥が発生しやすく、非常に高い技術が求められます。
具体的には、

  • 内部に空洞が生じる「ひけ巣」「ブローホール」「ピンホール」
  • 鋳型内にしっかりと溶かした金属が回らないことによる「湯回り不良」
  • 常温近くになった際の不均一な冷却による「低温割れ」

など、様々です。
こういったトラブルがつきものであるため、しっかりと品質管理を行わなければいけません。

鋳造製品のお悩みは鋳鋼技術ラボにお任せください!

今回は鋳造の特徴とメリット・デメリットについてご紹介させていただきました。

鋳造にも様々な手法が存在し、製品の使用用途や個数に応じて適宜選択する必要があります。
本コラムが皆様にとって適切な加工方法は何か、今一度見つめなおしてみる機会となれば幸いです。

最後に、鋳鋼技術ラボでは、あらゆる鋳鋼・鋳鋼製品についての技術提案を行っています。
鋳鋼や鋳鋼製品にお困りの方は鋳鋼技術ラボまでお問い合わせください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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