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技術情報

固溶化熱処理

作業内容は「高温から水冷」で前述の焼入れ作業に似ているが、目的は焼入れとは異なる。

鋳込み後の凝固過程や溶接補修時に生じた“炭化物の析出”を結晶粒内に固溶して錆びにくくするのが主要目的。炭化物は500℃~900℃で析出するが950℃以上になると結晶粒内に固溶される。

よって1000℃以上の高温に一定時間保持し、この固溶された状態のまま一気に急冷することが必要。

 

仕様の一例を挙げると原発向けの【982℃から427℃への冷却は5分以内】とか、特定顧客仕様では【炉出しから水冷まで1分以内目標】【水槽の水温55℃以下】等、炭化物の固溶という目的を失わないための厳しい仕様もある。

炭化物が結晶粒界に析出すると錆びやすくなる(粒界腐食)のはもちろん、硬くて脆い性質でもあるので割れやすい状態(粒界割れ)にもなってしまう。

製品温度が950℃以下からの水冷は炭化物の析出が起こり出しているため「固溶化熱処理」の目的を達成しているとはならない。

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