9Cr鋼は、電力業界において広く採用され、バルブ・配管を含む種々の重要な耐圧部品として使用されています。
高温材といえばオーステナイト系ステンレス鋼を連想される方も多いと思われますが、これらの耐圧部材と並んで9Cr鋼も注目されることが多いです。
その理由は主に2つあり、1つが材料費がオーステナイト系ステンレス鋼に比べて低コストである点です。さらにもう一つが、プラント設計者が好む理由として、9Cr鋼は熱的・物理的性質においてもオーステナイト系ステンレスより優れている点です。
利点ばかりのように思われがちな9Cr鋼ですが、適切に製造されなかった場合は、寿命評価において著しく低下します。
その理由の主要なものが、「デルタフェライト組織の生成」にあります。
高クロムを含有する当該鋼種は、クロム当量とニッケル当量のバランスが重要です。このバランスが崩れると、本来マルテンサイト単相であるはずの当該鋼種に、デルタフェライトが生成されます。このデルタフェライトが生成されるとクリープ特性は著しく低下し、容易に損傷に至ってしまいます。これらの注意点を確り把握して製造できるのは、一部の限られた材料メーカであり、TVEもその数少ないメーカの一つなのです。
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